2014年12月01日
利根中央病院 栄養課
管理栄養士
芹川梢
寒さも厳しくなり体が温まる料理が美味しい季節になりました。冬の料理の定番でもある「鍋料理」に旬の野菜やきのこ類、旨味成分がたくさん入った鶏肉や鯛・かき・はまぐりなどをたっぷり入れて、食卓を囲んでいる家庭が多くなっているのではないでしょうか。大変人気の鍋料理ですが、意外と塩分量が多く、注意が必要です。
人気の「鍋」と塩分
鍋の味の素となるスープは「ちゃんこ鍋」「キムチ鍋」「豆乳鍋」「トマト鍋」「寄せ鍋」など様々な種類が販売されていています。味は好みで選んでいいのですが、キムチ鍋は約6g、ちゃんこや寄せ鍋は4g、豆乳やトマト鍋は約3gと、一人前(250ml)の塩分量がそれぞれ違うので、商品に書かれている成分表示などを確認しながら選んでみてください。
肉や魚・野菜の旨味を生かした水から煮立たせる「水炊き」は、薬味にもみじおろし、あさつき、ゆず、かぼす、すだちなどを使うとアクセントにもなり薄味でもおいしくいただけます。
また、熱々の物を急いで食べると血圧の上昇にも繋がりかねないので、適温にしてゆっくりと、よく噛んで召し上がってください。
他に冬の料理の定番「おでん」は、はんぺん、ちくわ、さつま揚げなどの加工品に一個0.6~1.5gの塩分がありますので、具材選びの時の参考にしてください。
日本人の食塩摂取基準
厚生労働省の発表した2015年版の塩分摂取目標量は1日あたり男性8.0グラム未満、女性7.0グラム未満とされていますが「平成24年国民健康・栄養調査の概要」では1日あたり男性11.3グラム女性9.6グラムで目標量より多くなっています。体の中に塩分が多くなると血圧も高くなり脳や心臓の病気を引き起こしやすくなりますので減塩を心がけていくことが大切になります。
減塩のコツは
- 調味料は使いすぎないように計量スプーンで計る習慣を身につけましょう
- 塩分の多い漬物は1日1回までにし、麺類の汁は飲まないようにしましょう
- 肉や魚などは醤油などの漬け込みは止め、表面だけにしましょう
- ドレッシング、マヨネーズ、ソース、しょうゆはかけ過ぎないようにしましょう
- 香味野菜、香辛料などを上手に使いましょう
- 減塩調味料や旨味成分が多い旬の食材を使いましょう
- 買い物をする時は商品の塩分表示をみましょう
- カリウムを積極的にとりましょう
できることから取り組みましょう。
適度なカリウム摂取を
カリウムは細胞内液の浸透圧が一定に保たれるように調節し、塩の成分の一部であるナトリウムを体外に排泄させ、心臓や筋肉機能を調節する役目もしているミネラルです。カリウムは野菜や果物、大豆製品などに含まれています。冬野菜もカリウムは多いので鍋料理はもちろんサラダやお浸しなど毎日食卓に取り入れてみてください。(下図)