2015年08月01日
利根中央病院
栄養管理室
栄養管理科
神山 侑佳
厳しい暑さが続く夏。食べ物が傷みやすいこの時期、気をつけたいのが食中毒です。暑さで体力や抵抗力が落ちやすくなっている時期でもあるので、食中毒にならないように予防と対策を知っておきましょう。
原因
食中毒を引き起こす主な原因は「細菌」と「ウイルス」です。細菌にはO157やカンピロバクターなどがあり、温度や湿度などの条件が揃うと食べ物の中で増え、その食べ物を食べることで食中毒を引き起こします。ウイルスは細菌と違い増えることはありませんが、食べ物を通じて体の中に入ることで食中毒を引き起こします。主な症状として、腹痛や嘔吐、下痢、発熱などがあります。(図)
予防の三原則
- ①つけない
- 手にはさまざまな細菌が付着しています。食べ物につけないように調理を始める際、生の肉、魚、卵を取り扱う前後、動物に触れた後などは必ず手を洗いましょう。簡単に済ませずに、指の間や手首などしっかり洗いましょう。また、手や指に傷がある場合はゴム手袋の使用やラップの使用がお勧めです。まな板・ボールなどの調理器具は汚れを落とし、熱湯や台所用殺菌剤で消毒をしてから使用しましょう。消肉・魚用と加熱しないで食べる野菜用で分けるとより安全になります。
- ②増やさない
- 細菌の多くは高温多湿の環境になると、増殖が活発になります。菌を増やさないためには低温で保存することが重要です。10℃以下で増殖がゆっくりとなり-15℃以下では増殖が止まります。肉や魚、お惣菜などは購入後できるだけ早めに冷蔵庫に入れるようにしましょう。ただし、冷蔵庫に入れたとしても細菌はゆっくり増えていきます。できるだけ早めに食べるようにし、すぐに使用しない食品は冷凍保存にするのも良いでしょう。
- ③やっつける
- ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅させることができます。肉や魚はもちろんですが、野菜なども加熱してから食べることでより安全になります。特に肉や魚は中心まで加熱することが大事です。少し生っぽくても大丈夫とは思わずに、しっかりと加熱することを心がけましょう。
防ぐための実践
- 買い物の時
- ・必ず消費期限を確認。
- ・肉や魚などを買うときは、汁が他の食品につかないようにビニール袋に入れる。
- 家庭での保存
- ・冷蔵庫や冷凍庫の容量は7割程度としましょう。
- 調理の前に
- ・生で食べる野菜などは流水できれいに洗う。洗わずに食べられると書いてあるカット済み野菜も洗うようにする。
- ・自然解凍は避けて冷蔵庫や電子レンジを使う。
- 調理のときは
- ・加熱は75℃1分以上が目安。調理済みのレトルト食品や冷凍品もよく加熱を。特にお弁当のおかずは中心部まで火が通っているかよく確認を。
- ・使用後の調理器具、ふきんなどは熱湯や台所用殺菌剤を使って消毒し、きちんと乾燥させる。
- 食事のときは
- ・食器は清潔なものを使用。
- ・作った食品は長時間、室温に放置しない。2時間以上放置したものは捨ててる。
- もし食品が残ってしまったら
- ・清潔な容器に保存する。温め直すときは沸騰するまで加熱しましょう。
- ・時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる。色や臭いなどで判断することもあると思いますが、ちょっとでも怪しいと思ったら捨ててください。
食中毒かなと思ったら
嘔吐や下痢などの症状は、原因である細菌やウイルスを体の外に出そうとしている体の防御反応です。むやみに市販の下痢止めなどの薬を飲まずに早めに医師の診断を受けるようにしましょう。自分たちでできる三原則を行い、食中毒を予防しましょう。
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